最大の記念日「誕生日」は全力投球

会社の屋上で男女が…

僕が尊敬する女性社員の先輩がひとりで缶コーヒーを飲んでいた。僕たち、新人の間では「ちょっと篠原涼子に似てるよね」と噂になっていた先輩。性格もクールで、仕事中に笑顔なんて絶対見せない先輩。そんな彼女が他の社員が帰ったあと、ひとりで夜風に当たっていた。家の鍵を忘れて会社に取りに帰った僕は、その光景を偶然目撃したのだった。僕は、思い切って話しかけてみた。

「お疲れさまです」先輩は、僕の姿に驚いていた。何より僕だって驚いた。何故なら彼女の目には涙が滲んでいたからだった。

「あの、何かあったんですか?」僕は思わず尋ねていた。

「別に、心配しないで。お疲れさま」。遠回しに僕に帰宅を促す先輩。しかし、僕はあることが心配でその場から立ち去らなかった。

「何か私に用があるわけ?」涙を拭っていつものクールビューティーに戻った先輩。僕は素直に思っていたことを発言した。

「なんかこのまま帰ると先輩が自殺しちゃうような気がして」。次の瞬間、初めて聞く先輩の大きな笑い声。

「大丈夫、心配しないで。自殺するなら誰かを巻き添えにするか、誰かを殺めてから自殺をするタイプだから。あーおかしい」。

それから先輩はぽつりぽつりと話し始めた。

「なんか疲れが溜まっているだけなんだと思うな」「こうやって、誰もいないところで泣くのが趣味なの」「人生? みたいな大きなことを考えちゃって、五里霧中よ」自分の弱いところをひけらかして、優しく語り出す先輩を僕は初めて見た。

しかし、違和感はない。この優しい姿が本当の先輩の姿だと本能的に悟っていたからだろう。

「あの、ちょうど家で飲もうと思ってたビールがあるんですけど、一緒に飲みませんか?」。先輩は嬉しそうに微笑んでくれた。

そして、会社の屋上で語り合う僕ら。ほろ酔いの先輩は饒舌でいろいろなことを話し始めた。小一時間経ったころ、僕は帰宅する旨を告げた。そのとき、突然。先輩の唇が僕の唇に重なったのだった。

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